

第二回目のゲストは、[got music?]のサウンドシステムをデザインして頂いた 小林 高治さん。[got music?]の心地よい音の空間は、彼よって創り出されています。第二回目のゲストは、小林さんにインタビュー。

小林:got music?音響デザインのお話をいただいてすぐにミーティングをして、まず、3つのコンセプトを立てました。
1.耳にも目にも邪魔にならない。
2.スピーカーの近くでも会話ができ、店内後方でも心地良く聴こえる。
3.店にはサウンドエンジニアなど居ないのでシンプルなシステムと、オペレーションの簡素化、そしてLIVEにも対応できること。
しかし、店内が細長い、天井が低い、生演奏があるのにヴォーカル等のマイクロフォンはスピーカーの前という、音響的にネガティブな状況もたくさんありました。かなり厳しい条件でしたが3つともクリアーできたと思います。BGMの時は会話の邪魔になりませんし、LIVEの時はアーティストの表現、想いを伝えられています。形状デザイン的にも、店の内装にとけ込んでいます。スピーカーの近くでも普通に、お客様も会話を楽しめますし、後ろの方でも音楽が良く聴こえます。
小林:狭い空間にスピーカーを入れるのが一番大変でした(笑)。スピーカー自体は、構想が決まれば、すぐにモックアップ(試作品)づくりを行ないます。完成までに2、3個試作品を作ります。このスピーカーは、確か4つ目に出来たものですね。折角創るんだったら、いいものを創りたいので、何度も試作品を創って、気になるところがないか入念にチェックして完成度をあげていきます。今ではコンピューターで音響振動工学に基づき、大体の予測は計算上でできるんですが、それは何もない空間での計算。実際のお店には、お客様がいらっしゃるし、人が動くので、試作は本当に重要です。今回のスピーカーは、[got music?]のお店に溶け込み、アーティストにも好評と伺い、とても嬉しく思っています。
小林:縦に繋ぐと、遠くまで音が減衰しないんです。大きな音を出さなくても、遠くまで音が広がる。
だから、マイクの音量を上げる必要性もない。スピーカーが近くにあってもハウリングを起こす心配もありません。近くにいてもうるさくなく、遠くでもよく聴こえる。
幅が狭く、奥行きがあるので[got music?]に適しているデザインだと思います。
ガンガン聴かせる感じのお店ではないですし。
手前味噌になりますが、居心地良く、どの席でも会話を楽しみながら、音楽を聴いてもらえるお店になったんじゃないかなと思います。
小林:重要なことは、クライアント、音響デザイナーがお互いなにをしたいのかを理解すること。
そして、ミーティングは直接会ってすることですね。会って話し合うことにより細かなディテールまでお互い理解出来ます。
私の場合、音場デザイン(音による空間デザイン)の構想をもとにオリジナルのスピーカーを作ります。
市販のスピーカーはあまり使いません、使う場合でも構想に合うように何かしらの改造をします。
オリジナルのスピーカーをつくるメリットは、スピーカー本体でチューニングができるということ。グラフィックイコライザー等でチューニングなする必要がないので、余計な機材を購入しなくて済みますし設置スペースも少なくて済みます。また、機材の数が減ると云うことはトラブルの原因が減ると云うことにもなります。さらに言うと、オリジナルのスピーカーを作るもう一つの理由は、店舗の内装に合わせることが出来ると云うことでしょうか。
[got music?]でも、店内カウンターの木目カラーをあわせて、オリジナルのスピーカーをデザインしました。
小林:音楽制作に興味があり、PA機器のエンジニアとしてスタートしました。その頃のPA機器会社はオリジナルのスピーカーを作るところが多かったんです。私のいた会社はクラブやカフェ、レストランなどの音響も手がけていて、市販のスピーカーに飽き足りない店のオーナーやパーティーのオーガナイザーから仕事を頼まれるようになりました。その時の影響でサウンドシステムのデザインだけでなく、カタチや見た目にもこだわりを持つようになったんです。そこでの経験が、今のサウンドシステムをデザインする上で役立っていると思います。
小林:JAZZを聞き始めたのは高校生の頃です。お金も無くてレコードも買えなかったので当時沢山あったJAZZ喫茶で色々聴く訳ですが、東京辺りの店は私語禁止なんて所もあり、よく怒られました。あ、これJAZZのイメージじゃなくてJAZZ喫茶のイメージですね。(笑)
小林: 大好きなビールとチーズナチョス。ワインなんかもいいですねぇ。
小林:最近ゆるーい感じの音楽が好きになってきたので、ビールとチーズナチョスでゆるいjazzが聴きたいですね。
スピーカーそのものだけではなく、音楽を楽しめる空間をデザインして頂き、本当にありがとうございました。
モノづくりへのこだわりや執念は敬服するばかりで、世界は違えどなにかを「つくりだす」という点では大変参考になりました。
こだわりのサウンド空間になっている[got music? ]を通して、私たちも新しいカルチャーの構築に執念を燃やしたいと思います。